「自然」と「ゴキブリ」( 虫、害虫、ゴキブリもいない奇跡の家 )
梅雨まっただ中、知人の家(わが家と同時期に新築)では早くもゴキブリが大活躍。この駆除に大忙しとのこと。
一方、わが家では、入居以来、ほとんどゴキブリの姿を見ていません。
生息している気配もないくらい。
夏になると玄関のドアから蚊も侵入してきますが、夜中にブーンと唸りチクッと刺す、あのうっとうしい経験はありません。
いつの間にか蚊も死んでいるか、弱ってしまいます。
家の中が蚊の生息に適さない湿度を保っているためだと思います。
よく考えるとわが家も以前はキッチンと壁の接点の角など汚れが目地にこびりついていたようです。黄色く、茶色くなるあの汚れです。
これが、現在のわが家ではほとんどない。女房が新築で掃除を丹念にしているせいもあるかもしれませんが、黄色い目地の汚れが出る気配もない。
床は桜のムク材で、一切、表面塗装されていないのですが、子どもがよくこぼす食材もほとんどシミにならない。
私の想像によると、完璧な湿度管理によるところが大きいのではと思います。
わが家は常時、冬も夏も湿度は50~60%前後に保っています。全ての部屋、廊下、床下、屋根裏までです。信じられますか。
この湿度がもっとも空気が美味しく、洗濯物も乾き、住み心地もいいようです。
ところがこの湿度、ゴキブリや食物の汚れなどにとっては大敵もう少し、湿度が上がらないとゴキブリも汚れも生息できないのです。人間とゴキブリ、汚れは適温、適湿度が違うのです。ここがポイント。
よく、「自然の住宅」「自然が満喫できる住宅」「自然いっぱいの住宅」「自然素材を利用」など、住宅関連で「自然」という文字が使用されます。
これはいったいどういった意味の「自然」か?アマゾンの自然は湿度がいっぱい。 熱帯雨林で植物、昆虫、生物もよく育つ。 この「自然」は人間の住環境にとって相応しい「自然」か。一般論として好ましい「自然」ではないでしょう。
好ましい「自然」とは、先ほど指摘したような、湿度が50~60%に保たれている、室内温度は20℃から最大でも27、28℃。このような環境ではないでしょうか。
この環境だと天然素材のムク材を室内で使用しても汚れも少なく、もちもいい。 わが家では本畳を使用していますが畳本来の良さがいつまでも残る環境です。自然素材を生かすならこの環境が必要です。
もちろん冬の結露もまったくなく、カビはほとんどありません。
一方、「自然住宅」という場合、ややもすると、外気の空気が家に入り、窓を大きくとって太陽光がめいっぱい室内に入る、まるで外にいるような室内空間を指すことも多いと思います。
私が測定したところ、実は一年のうちの半分近く、外気の湿度は60%を超え、ゴキブリには最適でも人間にとっては不適な湿度が多いのです。
これを室内に入れると、たちまち家の中の湿度は上がり、ゴキブリが生息しやすい空間になるということです。一般の住宅の実態はこれと変わらない状況があると思います。
とにかく湿度は一度、上げると下げるのが大変。 24時間、家の隅々まで一切、適度な湿度を保つことです。快適に住むにはこれしかない。 これができない家では、快適でないということです。